下肢編

距骨は大腿骨に似ている??

距骨と大腿骨の形状

距骨は下腿と足の架け橋

足部は身体の最も遠位部に位置します。
足部の特徴として、足部の面積に対して骨の数と関節の数が多いことが挙げられます。

足部を構成する骨の数は片側で28個、合わせて関節の数も55関節と非常に多いです。

その中でも今回は”距骨”を取り上げます。

距骨は脛骨と腓骨の下腿骨と踵骨や舟状骨の足の骨の間に位置していることから、”下腿と足の架け橋”と表現されることがあります(図1)。

よって、距骨は役割も重要で下腿からの荷重を支え、その荷重を足の骨へ伝達します。
さらに足関節の主な動きである、足関節の底背屈、内外反の両方に距骨は関係します。

このように足の動きや役割の視点からも距骨がしっかり機能しないと、機能障害を呈する可能性が高くなります。そのため距骨の形状は解剖学的にも非常にユニークです。

距骨と大腿骨は似ている??

ユニークな特徴を持つ距骨の形状を観察します。

距骨は距骨、距骨、距骨3つの領域に分類されます(図2)。

この頭・頸・体という分類は大腿骨でも使用されています。
(大腿骨では、大腿骨頭、大腿骨頸部、大腿骨体と記載されます)

上記のように名称の表現からも、距骨と大腿骨は形状が一部、類似していることがイメージいただけると思います。

足の骨の中で筋の付着がないのは距骨のみ!!

大腿骨と似ているもう一つの点は、距骨には筋が付着しないことも挙げられます。
大腿骨においても大腿骨頭と頸部には筋が付着しません。

よって筋からの二次的な血流が乏しくなり、当部位の骨折は治癒が難しく基本的には手術が適応されます。
(大腿骨頭や大腿骨頸部を骨折した場合には、血行がとぼしいため、基本的には人工股関節全置換術が施行されます)。


距骨においては、頭・頸・体の全てにおいて筋の付着はありません。
よって距骨は全体に渡り、二次的な血流は乏しいため、阻血性壊死を呈するリスクがあると言われています1)。

筋の付着のない骨の問題点

足の骨は、その近位(上)に位置する脛骨と腓骨からなる下腿骨からもたらされる圧縮力を支える必要があります。

この圧縮力を支える組織には骨以外に足の筋や腱、靭帯、足底腱膜などが関与し圧縮力を調整しています。

上記のうち距骨には筋、腱、足底腱膜の付着はありませんので、圧縮力の調整が不十分となりやすいことが挙げられます。


上記の組織のうち、唯一距骨”に付着するのは”靭帯”です。

よって、距骨とそこに付着する靭帯に大きな圧縮力がかかってしまうことが、距骨の構造上、問題点として挙げられています。

距骨は不規則な形状をしている

距骨に以下の3つの突起があります(図3)。

① 内側突起
② 外側突起
③ 後突起

突起とは出っ張る骨の部分を意味しています。
出っ張るのにはいくつか理由がありますが、その中でも多い理由には、筋や靭帯の付着部になっていたり、関節面を形成するなどが挙げられます。

出っ張っていることで筋や靭帯が付着しやすい状態を作っていたり、出っ張ることで上にある骨を下で支えやすい状態を作っています。

①内側突起は三角靭帯の後脛距部が付着部となっています。
②外側突起には腓骨を下から支え、腓骨との関節面を形成しています。
③後突起は外側側副靭帯の後距腓靭帯の付着部となっています。

そして出っ張った(凸)である突起と突起の間は、反対にくぼみ(凹み)となります。
その凹みにも役割があります。

距骨の場合には、足関節の背屈制限の原因で取り上げられることの多い長母趾屈筋を例として取り上げます。
長母趾屈筋は、①の内側突起と③の後突起の間の凹みの間を走行します(図3)。

なぜ長母趾屈筋が背屈制限の原因になるのか?
それは足関節を背屈する時には距骨は後方へ滑ります。

その時に距骨の後方を走行する長母趾屈筋が硬いと後方への滑りを阻害する要因になるためです(図4)。

本記事では距骨のユニークな骨の形態解剖学について大腿骨の類似点も含めながら、ご確認いただきました。

次の記事では、距骨が関係する関節について発信させていただきます。

距骨と隣接する骨 距骨と関節を形成する骨
距骨は4つの骨と3つの関節を形成 距骨は4つの骨に挟まれている? 前記事では距骨の骨の形状の特徴についてご確認いただきました。 https://shunta...

参考文献

1. Melenevsky Y, Mackey RA, Abrahams RB, Thomson NB. Talar Fractures and Dislocations: A Radiologist’s Guide to Timely Diagnosis and Classification. Radiographics. 2015 May-Jun;35(3):765-79.