アライメント

良好な立位姿勢とは

良好な立位姿勢の評価方法

下記の記事では腱板損傷の危険因子を挙げました。
その中の一つに”姿勢”が関係していました。

腱板損傷の様々な原因
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具体的には
・後弯ー前弯姿勢:65.8%
・フラットバック姿勢:54.3%
・スウェイバック姿勢:48.9%
・良好な立位姿勢:2.9%

理想的な姿勢では2.9%と明らかに腱板損傷のリスクが低いことをご確認いただきました。

よって、本記事では良好な立位姿勢について解説させていただきます。

良好な姿勢の定義とは

姿勢の良い悪いの評価は一般的に立位姿勢で行われます。
(立位でのみフラットバック姿勢やスウェイバック姿勢等の姿勢に名称が付けられます)

良好な姿勢とは以下の3つが挙げられています。
①立位において工学的に有利→骨
②移動において機械的に有利→筋
③内臓の正常な機能を支持
→良い姿勢とは筋骨格系がバランスよく働ける状態を意味します。

②の機械的に有利については、移動という動的な部分は評価が難しいのでは?という疑問を持たれるかと思いますので、少し補足をさせていただきます。

この②でいう機械的に有利というのは、良好な姿勢から逸脱した各関節周囲の筋群は、個々に正常とは異なる反応(抑制または過活動)を示すことが報告されており、このような理由から移動時の筋の発揮能力も機械的に不利となるという意味で記述させていただいております。

③は良姿勢は正常な筋機能を発揮させ、立位姿勢においても移動などの動作時においても胸腔・腹腔を最適な位置にセットすることを意味します。

悪い姿勢は上記の①から③に問題がある場合を言いますが、骨や筋の支持構造に負担がかかり、身体のバランスが崩れた状態です。

立位姿勢の評価方法(矢状面からの観察)

具体的な姿勢の評価はどのように行うのか整理します。本記事では立位姿勢での評価かつ矢状面からの評価方法に限定し整理します。

まずは大きく姿勢をとらえた場合、身体の上から観察すると

頭部:水平位(目線の高さが水平、顎が胸骨の直上に位置)
脊柱:緩やかに頸椎と腰椎は前弯し、胸椎は後弯
骨盤:わずかに前方傾斜
下肢:中間位(屈曲や過伸展がない)

次に具体的なランドマークを設定し評価する方法を確認します(図1)。同じく身体の上から観察すると

頭部:乳様突起
肩:肩峰
脊椎:腰椎体
骨盤:仙骨岬角 ※
股関節:股関節軸のやや後方(概ね大転子部)
膝関節:膝関節軸のやや前方(概ね腓骨頭の前方)
足関節:外果のやや前方

※仙骨岬角とは仙骨の上縁である仙骨底の前縁で前方に突き出した領域を指します(図2)。

姿勢の評価方法
乳様突起
肩峰
腰椎
岬角
大転子
腓骨頭
外果
仙骨底
岬角

以上のように矢状面からの評価方法はある程度の基準点は定まっているものの、やや後方といった記載もあり、評価者によって判定にズレが生じる場合があります。

そのため評価者は変えず評価の前後でとういつすること、またランドマークとなる部位は骨のランドマークであるため正確な触診の技術も必要です。

本記事では臨床で担当される対象者の方の立位姿勢を矢状面(横)から観察した時に良好な姿勢を評価する方法について解説させていただきました。

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