上肢編

肩こり 原因別 アプローチ方法(軟部組織編)

軟部組織由来の肩こりへのアプローチ

前回の記事では、軟部組織由来の肩こりを4つの領域に分類し原因の場所を評価しました。
具体的に4つの領域とは①前上方、②前下方、③後上方、④後下方した。

軟部組織由来の肩こりの原因と評価方法
肩こりの原因と評価方法 (軟部組織編) 前回の記事で肩こりの原因には3種類あることを確認しました。3種類とは↓↓①骨もしくは関節が原因の場合②肩関節周囲の軟部組織の場合③その...

ただ前回の記事では、4つの領域ごとの具体的な制限因子となる組織までは触れておりません。

専門家としては、具体的な制限因子となる組織まで知った上で、尚且つ各組織をしっかり触り分けしてアプローチしたいので本記事では詳細について解説します。

詳細に移る前に軟部組織由来の肩こりのアプローチを検討するときの注意点を確認します。

軟部組織由来の肩こりのアプローチ方法と注意点

五十肩による肩こりは、前回の記事の通り下記の3段階で経過します。

  • 第1段階:痛みが強い段階
  • 第2段階:痛みからコリに移行する段階
  • 第3段階:コリが強い段階

このうち痛みが強い時期の積極的な可動域訓練は逆効果であるという報告があります1)。
よって痛みが強い時期は、無理に可動域訓練をすることは推奨されていませんのでご注意ください。

積極的な関節可動域訓の開始時期は対象者の方が感覚的に痛みが少しずつ軽くなってきて、コリが強くなってきたと感じるタイミングから実施します。

制限因子となる軟部組織リスト

ここでは肩関節を4つの領域を構成する軟部組織を整理します(図1)。

  1. 前上方:筋(三角筋前部線維 / 上腕二頭筋 長頭、肩甲下筋)、靭帯(上関節上腕靭帯、中関節上腕靭帯)
  2. 前下方:筋(肩甲下筋、大円筋)、靭帯(中関節上腕靭帯 / 下関節上腕靭帯)
  3. 後上方:筋(三角筋後部線維 / 棘上筋 / 棘下筋)、靭帯(後方関節包)
  4. 後下方:筋(三角筋後部線維 / 棘下筋 / 小円筋 / 上腕三頭筋 長頭)、靭帯(後方関節包、下関節上腕靭帯)
肩関節の制限因子
軟部組織による制限因子
制限の原因組織

アプローチ方法の実例

アプローチ方法は事例で解説させていただきます。

画像は自主的にセルフで実施しているものです。臨床では治療者が対象者に対して実施していただいたり、自主トレーニングの方法としてご活用ください。

評価によって原因部位が①の肩関節の前上方となった場合は、肩関節の下垂位での外旋が制限されます。
その場合のアプローチ方法は原因部位である肩関節の前上方に手を当てながら、痛みのない範囲で少しずつ外旋の可動域を拡大していきます(図2)。

肩関節の前上方の硬さの評価方法

評価によって原因部位が②の肩関節の前下方となった場合は、肩関節の外転での外旋が制限されます。
その場合のアプローチ方法は原因部位である肩関節の前下方に手を当てながら、痛みのない範囲で少しずつ外旋の可動域を拡大していきます(図3)。

肩関節の前下方の硬さの評価方法

評価によって原因部位が③の肩関節の後上方となった場合は、肩関節の下垂位での内旋が制限されます。
その場合のアプローチ方法は原因部位である肩関節の後上方に手を当てながら、 痛みのない範囲で 少しずつ内旋の可動域を拡大していきます(図4)。

肩関節の後上方の硬さの評価方法

評価によって原因部位が④の肩関節の後下方となった場合は、肩関節の外転位での内旋が制限されます。
その場合のアプローチ方法は原因部位である肩関節の後下方に手を当てながら、 痛みのない範囲で 少しずつ内旋の可動域を拡大していきます(図5)。

肩関節の後下方の硬さの評価方法

本日解説した軟部組織由来の制限因子の一覧と具体的なアプローチ方法、アプローチの注意点について解説しました。

ただ、本記事でご紹介させていただいたアプローチ方法は肩を4つの領域を、大体の位置で分けて、各領域ごとに大きく手を当てながら行うアプローチ方法です。

メリットは患者さんへの自主トレーニングにご紹介できるほど簡単に実施できますが、反対に効果に満足できない場合もあります。

4つの領域の中をさらに一つずつ評価し、一つの組織にアプローチをすることによって、治療効果が高まります。

より専門性のある方法に興味のある方向けに現在教科書を作成中ですので完成したい下記に添付させていただきます。

参考文献
1.Diercks RL and Stevens M. Gentle thawing of the frozen shoulder: a prospective study of supervised neglect versus intensive physical therapy in seventy-seven patients with frozen shoulder syndrome followed up for two years. J Shoulder Elbow Surg 2004; 13: 499–502