前回の記事では良好な立位姿勢の定義や具体的な評価方法について発信しました。
(下記に添付させていただきます)
本日は前回の良姿勢とは反対の不良姿勢について発信します。
不良姿勢の原因
① 構造上の問題
② 非構造上の問題
①の構造上の問題も②の非構造上の問題も外観から観察される姿勢は不良です。
その中で構造上の問題とは、見た目の異常と骨や軟部組織にも形態異常が存在する状態です。
それに対して非構造上の問題とは、見た目の異常のみで組織の形態異常は存在しない状態です。
よって①の構造上の問題は②の非構造上の問題と比較して柔軟性が乏しくアライメント矯正が難しいため、臨床上なかなか改善が難しく、治療に時間を有することが多いという特徴があります。
構造上の問題の種類
構造上の問題は具体的に以下のものが挙げられます。
① 特発性側弯
② ショイエルマン病の若年性後弯症
③ 先天性脊椎奇形
④ 脊髄骨髄炎後の姿勢不良
⑤ 脊椎すべり症
⑥ その他に:胸椎後弯症、平背、骨盤の位置異常などがあります。
非構造上の問題
非構造上の不良姿勢では、軟部組織の形態異常はありませんが、アライメントの異常に対して筋群が”反射性抑制”と”反射性興奮”を生じます。
基本的に反射性抑制では筋活動の低下に伴う筋力低下が発生し、反射性興奮では筋の活動が亢進し柔軟性低下が発生します。
構造上の問題と非構造上の問題の鑑別方法
上記の原因が2つに分けられることは理解できた上で、臨床で担当させていただく方の姿勢を観察すると、非構造上の問題の不良姿勢も構造上の問題の不良姿勢も、外観は類似していることが多いことに気がつきます。
よって、両者を鑑別するには外観からの観察だけでなく、しっかりと身体を評価する必要があります。
例えば、胸椎後弯を示した症例に対して、構造上の問題による胸椎の後弯であるのか?それとも非構造上の問題による胸椎の後弯であるのか?鑑別したい時には、腹臥位(うつ伏せ)になり体幹を伸展した時の胸椎の動きの変化を評価します(図1)。
構造上の問題による胸椎後弯の場合には体幹を伸展した時にも胸椎が後弯したままの状態です(図1-A)。
それに対して非構造上の問題による胸椎後弯の場合には体幹を伸展した時に胸椎は前弯します(図1-B)。
上記の通り、対象の方が構造上の問題による不良姿勢なのか、それとも非構造上の問題による不良姿勢であるのかを鑑別するには、目的の部位が動く動作をしてもらい、その時の目的の部位がしっかり可動しているかを評価する必要があります。
お仕事で不良姿勢の方を担当された時に評価のご参考になりましたら幸いです。
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