こんにちは、吉田俊太郎です。今回のテーマは、膝関節の評価や治療において非常に重要な部位である「大腿骨外側顆(だいたいこつがいそくか)」です。

単に場所を特定するだけでなく、その形状や関節面としての機能、さらに膝蓋骨との位置関係を理解することで、触診の精度(触診リテラシー)をぐっと高めることができます。

1. 大腿骨外側顆の解剖学的特徴

大腿骨の外側の末端にある出っ張った部分を「外側顆」と呼びます。ここは以下の4つの面に分けて考えることができます。(図1)

外側顆
大腿骨
外側
4つの面
  1. 前面(ぜんめん):膝蓋骨と関節面になる部分 (図2)
  2. 下面(かめん):膝関節伸展時に脛骨との関節面になる部分 (図2)
  3. 後面(こうめん):膝関節屈曲時に脛骨との関節面になる部分 (図3)
  4. 上面(じょうめん)

前面は膝蓋骨と膝蓋大腿関節を形成し、下面と後面は脛骨との間で大腿脛骨関節を形成します。

外側顆と関節面
膝蓋大腿関節
脛骨大腿関節
外側顆と関節面
膝蓋大腿関節
脛骨大腿関節

「滑り」に適した外側顆の形状

内側顆と外側顆を下面から観察すると、形状に大きな違いがあります。
それぞれ、どの様な動きに適しているのかが理解できます。

  • 内側顆: 卵のような膨らみがあり、「転がる」のに適した形状
  • 外側顆: 内側よりも平らな「ブロック」のような形状で、「滑る」のに適した形状

また、外側顆は内側顆よりも前後径(縦の長さ)が3.5〜5mmほど長いのが特徴です。
これは、滑り運動に伴う摩擦や圧縮ストレスを広い面で受け止められるためで、関節へのストレスを軽減するためと言われています(図4)。

外側顆下面の細分化

外側顆の下面はさらに前方の部分を前顆、中央の部分を中央顆、後方の部分を後顆に分類されています(図5)。
下面は脛骨と接しているわけですが、膝関節の完全伸展位で主に前顆が脛骨と関節を形成し、膝関節の屈曲角度の増大に伴い、中央顆、後顆が脛骨と関節を形成します。
ちなみに中央顆から後顆の領域からは中央が凹んでいます。そのことによって外側顆と内側顆が明瞭に分けられます。

外側顆・内側顆の3つの領域

2. 触診の実践手順

動画では、右側の大腿骨外側を側臥位(左下、右上が触診側)の膝関節伸展位で解説していきます。以下の3ステップで触診します(図6)。

  1. 上面の触診
    大腿骨の外側面の少し後方から、指を遠位(足の方)へ向かって滑らせていくと、コツンと骨にぶつかります。ここが外側顆の上面です。
  2. 後面および下面の触診
    上面からさらに後ろを追いかけていくと外側顆の後面に触れます。この後面が膝関節屈曲時に脛骨と関節面を形成し、大腿脛骨関節を形成します。
    そこから関節裂隙(関節の隙間)の方向へ指を入れていくと、今回最も重要視する外側顆の下面に到達します。この下面が膝関節伸展時に脛骨と関節面を形成し大腿脛骨関節を形成します。
  3. 下面および前面の触診
    下面を前方(膝蓋骨の方)へ触診を続けたどっていくと、形状がグッと上方に上がっていくのが確認できます。上方に向きが変わったところから外側顆の前面です。
    この前面が膝蓋骨と関節面を形成し膝蓋大腿関節を形成します。

3. 臨床で役立つ評価の視点

外側顆の下面は膝関節の角度によって脛骨との接触部位が変わるため、痛みの評価に欠かせません。

臨床活用①:膝関節の角度の違いによる評価部位の変化

  • 膝関節伸展位(膝を伸ばした時)
    膝関節伸展位では下面の前方が脛骨と接します。よって膝関節伸展時に外側の関節裂隙の辺りに痛みを訴えられる場合は、この下面の特に前方を触診し評価します。
  • 膝関節屈曲位(膝を曲げた時)
    屈曲角度が強まるほど、接触面は中央から後方へと移動します。
    屈曲時に痛みがある場合は、より後方の面を触診します。よって膝関節屈曲時に外側の関節裂隙の辺りに痛みを訴えられる場合は、この下面の特に後方を触診し評価します。
    ※膝関節の深屈曲(最終屈曲位)においては、外側顆の後面に移動することに注意してください。

臨床活用②:膝蓋骨(パテラ)との位置関係

大腿骨外側顆の下面(下の面)は脛骨外側顆の上面(上の面)との間で外側の関節裂隙を形成します。
この外側関節裂隙のライン上には、膝蓋骨の最下端である膝蓋骨尖(しつがいこつせん)が位置します(図7)。
この指標を知っておくことで、膝蓋骨が本来の高さにあるかどうか(高位・低位)の評価にも活用できます。

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