こんにちは。吉田俊太郎です。
本ブログでは対象者の方に触れた時、自分の手から感じ取れる情報量を増やせるよう、触診リテラシーを高めることを目標に、普段の評価や治療に役立ててもらえましたら嬉しいです。
今回は現在進めている触診精度に関する研究について発信させていただきます。
研究に関する前回のブログ ↓↓
前回はマーキングの実施の有無により、実施直後の触診精度に違いについて解説しています。
動画内では以下の内容をまとめています。
マーキングのデメリット
体表上(皮膚の上)から目的の骨・関節・筋等をマーキング(触診し輪郭を描くこと)するということは、マーキングを行わずに純粋に触れるだけの方が時間はかかりません。
よって、マーキングによる学習のデメリットの一つは”時間がかかる”ということではないかと思っています。
よって、マーキングを実施するのであれば、学習の持続効果が気になります。その理由は、時間がかかっても、その記憶がただ触るだけよりも持続(保持)して記憶に残るのであれば、マーキングの学習を積極的に行う根拠になるためです。
マーキングするペンの色に注目されている
※詳細については後日発信予定です。
マーキングの歴史について
体表上にマーキングをした記録があるのは紀元前1世紀頃が一番最初の報告です。しかし紀元前から壁画などで、様々な部族で体にマーキング(ペインティングといった方が良いかもしれません)しているのが分かります。
以上の通り、マーキングの歴史は古いですが、医学の分野でマーキングが取り上げられたのは1999年で、最近であることに驚かされます。
その報告は、Op Den Akker et al., (2002)という方が初めて報告しました1)。骨、関節、筋等を体表上にマーキングするようになったようです。
授業でマーキングをしてみての感想
自分自身が初めてマーキングをした時に、ただ触れるよりも触診することが楽しかったのを覚えています。その理由は、自分が触れられていると、それがしっかり形として見えるからだと思っています。
ただ、そういう意味で学生さんからしたらネガティブな感想もあるかもしれません。その理由はマーキングを実施するということは、担当しているこちらが、しっかり練習しているか一目で分かってしまうためです。
マーキングなしで触診するだけであれば、練習したかどうか、一度に複数の学生さんを担当しているため担当する側は分かりません。
そういう意味で手を抜くことができないということがあるように思います。
その他の感想(聴覚刺激も関与する?)
授業の方では目的の部位について、触診の手順を書面に整理して配布しています。
その中でマーキングを実施するとなると、その手順を読み上げながら練習している場面も経験しました。
その読み上げるという行為がひょっとしたら聴覚刺激となり、触診精度に影響するのではないか?ということも気になっています。
参考文献
1.Op Den Akker JW, Bohnen A, Oudegeest WJ, Hillen B. 2002. Giving color to a new curriculum: Bodypaint as a tool in medical education. Clin Anat 15: 356–362.
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